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小説「ヒーズールの夜明け」に登場する村・・・ そのむらおさの独り言?!
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 「山に行くの?」、正確に言えば「山さ、いぐなが」、朝食をとりに居間に行った時母が訊いてきた。 日曜にいつもの山行きの服装を私がしていたからだ。 「そうだよ」、正確に言えば「んだ」、私はそう答えた。
 「何を採りに行くの?」、(ここからは正確な言葉遣いを省く)「ムキダケだよ」私が答えると
 「行って見ないと気がすまないだろうからね」、母は以前は私と共に山菜やキノコを採りに行ってたこともあって、山を良く知ってるために今日の山行きには悲観的な様子だった。 先週も実はこの言葉で、私は山に行くのを止めた。 今朝も母は悲観的な冷ややかな内容を笑顔で話し、そして「気をつけて」と言った。 

 今年はキノコが不作なのと、早めに収穫期がきたので、今日あたりはちょうどあまり収穫の期待できない日に当たる。 中途半端なのだ。 
 でも採れる採れないは別にして、山の様子を見るのは収穫期を判断するのに役に立つ。 それに私が山に行きたがっているのを見てとって、母があのように言ったものと思った。

 実際、山に到着すると、「ムキダケ」の収穫時期にしては下草もまだ青々としていて、正直がっかりした。 しかし、50kmもの道のりを走って来たわけだし、一応山に分け入ってみた。

 山は紅葉の序盤といったところで、風は微風ぐらいだったろうか。 一人で山に入っていると物音が気になる。 何せ熊やカモシカなどの野生動物の支配する地域なのだから。 ハラハラと音も無く舞い降りる葉は、地面に着く時に音を「カサッ」とたてる。 その連続音に不安感がないとは言い切れない。
 思わず「プレデター」という映画を思い出した。

 それでも山へ突き進むと、サワボタシが突如視界に入った。 時期的に終ったキノコと思っていたので、頬が緩んでしまった。 その後も所々でそのキノコを採り、一ヶ所では見事なほどに群生していて、しばらくは採らずに眺めていた。 狙いのキノコは全く採れなかったのだが、充分満足できた。

 山を降りてくると、いつも野菜や山で採れた物を売っている人気の露店がある。 情報を得るために寄り道をしてみた。 ナメコやアカキノコと一緒にサワモダシも売られていた。 トレイにのったその価格は400円だった。 私の採った量はその20倍ぐらいだったろうか。 まあ、その価格で買って食べることは無いにしても、満足のいく収穫と言えるだろう。
 チンゲン菜とイトカボチャを冷やかしのお詫びにと買ってきた。

 知人にお裾分けしたキノコの残りは、夕食での大好きなトン汁の具になったのである。
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